献血ルームフォレストの帰りに、同じモール内でソフィアを頼みました。

コメダ珈琲店では、唯一のシングルオリジンだったと思います。シロップもフレッシュもつかず、雑味のないこのコーヒーのアロマを味わうのははじめてです。

透明でもない。酸っぱくもない。薄くもない……じゃあ、否定的な形容ではなく表現するなら？

口当たりがいい。長く残る。ほのかな、果実の風味をくれる……これは茉莉花にもたとえられることのある、コーヒーの木の花の贈りものか。

アイスだから、酸味もほどよく落ち着いているのでしょうか。アイスのほうが複雑、と感じるひとは少なくないと聞きます。その複雑さをしっかり感じようとすればするほど、やすやすと飲み干せなくて、目を閉じて店内の音楽に聴き入ったり、ガス燈を象った照明を眺めたりして時間が過ぎていきました。

出るまでは時計も気にせず、献血をした帰り道にふさわしい十分な休息が得られました。ノリタケの森の門はもう閉まっていましたが、イオンモールの正門から出て駅のほうへ歩くと、ルーセントタワーのやさしい曲線がよく見えました。