寒くて寒くて、グラクロを食べに家を出ました。

みんなの投稿を見ていて気づいたことがあります。溶けちゃうシロノワールは別として、ケーキなら、はじめに一緒に持ってきてもらうのもそうおかしくはないということです。それで、テーブルがいつもよりにぎやかになりました。たまにはいいものですね。

この冬はじめてのグラクロは、お野菜ちゃんと食べようねというか、普通のを選びました。

キャベツにソースがよく合うこと。衣がしっかりしているから、熱々の分厚いミックスチーズグラタンをひと口ずつ落ち着いて味わえるのがうれしかったです。あんまりサクサクだから、噛んでいるうちに食べている自分が音を気にしてしまう瞬間がありました。その調子で、たちまち食べ切りました。

食べ終えたらすぐ、コーヒーが熱いうちに、ケーキのフィルムをそっと押し開いて、脇へ畳んでから、もとの向きに直しました。

少しいびつになってしまったのは、マイコメダの惜しみない暖房のしわざだと思ってもらえたら。

静岡県産抹茶クリームが、この秋冬のどのケーキよりもふわふわでした。そのなかで、食べはじめはうっすら覗いて見えただけの小豆が、小豆らしく主張し、小豆を食べ切ってしまったあとも、あの夏のシャインマスカットのように、内側へやさしく寝かせた一面エメラルドグリーンの抹茶がふわりと香り、コーヒーと溶け合って、まるで言葉にならないおいしさでした。

いままで食べたケーキのなかで、いちばんおいしかったです。そのおいしさは、強い葛藤を抱えて生きてきた父の故郷、静岡への想いを、もはやもう苦痛ではなく笑顔へ連れ戻してくれました。