さんかく屋根の下

コメダ写真館

イシガミ
2025/03/14 19:36

桜か梅か

正月に名古屋城で前田慶次と話したとき、「おぬし中村から来たのか。それはどえらい結構だが中川へもぜひ足を運んでくれい」と念を押されました。あの宗兵衛たっての願いとあっては、いつまでも先延ばしにできません。

そこで、中川区役所地域力推進課による企画「ディスカバー中川プロジェクト」第3弾、謎解きウォーク「ナッピーと不思議な巻物」に挑戦しました。あのナッピーが困り顔でいるのなら、ハボンちゃんの出番があろうとなかろうと、こちらから出向いて力を貸さないわけにはいかないというものです。

選んだのは上級編、舞台は、中川区史跡散策路のうち今回は「万場の渡しかいわいコース」ではなく、「荒子観音かいわいコース」をもとに地元有志からなる前田利家発信隊が作り上げた、その名も「犬千代ルート」です(犬千代とは前田利家の幼名、いまでいう成人式までの名前です)。

あおなみ線荒子駅前 前田利家公初陣之像とまつの像
荒子観音(浄海山円龍院観音寺)
冨士権現天満宮(荒子城址) 権利者・愛知県警察による啓発看板
権現公園 中川区の花ハボタン
宝珠院 庭園
コメダ珈琲 法華店

道中、利家とまつのことを考え考え、ゆっくり楽しみました。しかしゆっくりしすぎてもいけません。これがマラソンなら即座に失格ですが、ウォーキングなら、ルートから多少逸れるのも自由です。コメダのモーニングに間に合うのを目標にしました。

1年ぶりの来店でした。長い間が空いたようで、お店はもとのままそこにありました。あの朝も、パンジーがきれいでした。地域のひとたちで満席なのも、ひとの出入りがあるたびにスタッフさんの声がフロアを明るくするのも——

よく歩いたし、まだ先があるのを考えて、モーニングを豪華にしました。

さくらシェークではないのか、と訝る向きもあるかもしれません。じつは自分もその気でいました。オーレ、アイスオーレときて左上だけ手をつけないのは不自然な感じがしていたからです。ところが、スタッフさんがいうには、ここではもともとやっていないのでした。

歴史あるコメダだから、そのような事情もすぐに飲み込めました。切り替えて、もしさくらが完売ならとあらかじめ考えていたいちごにしました。パン追加のほうは、マーガリンだけ塗ってもらって甘塩っぱいシュガートーストにしました。

グラスの蓋も、トーストの切り込みもあんこの容器も、よそではなかなか見ない個性的な仕事ではないでしょうか。しかしそれ以上に舌を巻いたのが、完熟でないゆで玉子の黄身です。

半熟なら、サラダバゲットを含め稲葉地で何度か食べてきました。それよりももう少し火の通ったこのゆで玉子のおいしさときたら、絶妙としかいえません。トースト2種の輝きが、そのときばかりは霞んだほどです。

すべて、たいへん満足しました。体力も回復し、謎解きのここまでのまとめと最終問題への道筋を確認したら、ランチタイムを前に暇を告げて、もう一度歩き出しました。あのときと同じように、スタッフさんのあたたかな見送りの声を背中に受けて——

一柳通商店街 区民投票で選ばれた推しポス「金と絢爛」 (ディスカバー中川プロジェクト第1弾) 
前田利家百万石への道 犬千代ルート 道標
庄内用水 稲葉地井筋

今回、過去何度か歩いた犬千代ルートでとくに時間をかけたかったのが、庄内用水と利家ロードです。

安土桃山時代からひとびとの暮らしを支えてきた庄内用水が、中村区諏訪で中井筋と稲葉地井筋に分かれるということは、去年あおなみ線のウォーキングで学びました。いまでは緑道として整備された中井筋は、家から岩塚のコメダへ行くときの道です。稲葉地のコメダへ行くときも、このごろはコメダを出てすぐに帰らないで、あたりを歩いてその面影を探していました。

この日、この場所でつかめたのは、その流れがたしかにあの稲葉地から来て、港のほうでふたたび庄内川に流れ込む方角の感覚です。それだけでもここまで来た甲斐がありました。

いっぽう、その手前の利家ロードは、距離にすれば100メートルもないスポットです。しかしその中身は、若き信長に従った初陣(萱津(海津)の戦い、稲葉地川の戦いとも)から、まつを思えばこそ陥った牢人時代(桶狭間の戦い、森部の戦い)を経て帰参を許され、やがて長篠の戦い(設楽ヶ原の戦い)で鉄砲隊を指揮し、信長死後柴田勝家と秀吉が争った賤ヶ岳の戦いでは、前田家を守るため大恩ある勝家から離反し秀吉の傘下につく、その長きにわたる奮闘を絢爛たるイラストと碑文で描き出す、圧巻の充実ぶりでした。

そのほか、以前歩いたときとは違い、この日が春だったのが、見慣れたはずの景物をはじめてのように美しく見せてくれました。

龍潭寺の梅
新前田橋から名古屋駅の高層ビル群
前田速念寺(前田城址)

謎解きは、無事クリアできました。もと来たほうへ、今度はバスで引き返して、遅いお昼にきしめんを食べて帰りました。

コメダのモーニングをちょうど中心に、楽しい一日になりました。

荒子梅苑 吉田麺業の梅
前田利家公初陣之像とあおなみ線荒子駅
コメントする
2 件の返信 (新着順)
ギルバート
2025/03/16 10:07

名古屋にはコメダ珈琲店も羨ましいけれど,
こんなに楽しいところもあるんですね。
黄色いポストも素敵💓みたことないです。
楽しい投稿ありがとうございます😊


イシガミ
2025/03/16 16:58

こちらこそ、ご感想ありがとうございます。
楽しめる場所が探せば身近にたくさんあるのは名古屋のいいところかもしれないですね。
それは、自分はよそから来た人間ですから、いろんな案内に導かれてのことですし、逆に自分ではなかなか足を運べない各地の魅力にも日ごろから関心を持っています。
さんかく屋根の下でそういった投稿に出会えるのはうれしいことです。
ポストは、投票理由のなかにまさにそういうコメントがありました(ほかでは見つからないだろうと、笑)。
鮮やかで、ほんとに素敵でしたよ。

ようこ
2025/03/15 14:36

お天気にも恵まれ歴史ある所で
謎解きウォークを楽しまれたのですね✨
梅も綺麗で(私が)見知らぬ地の建造物
興味深く読みましたφ(・ω・*)フムフム...

あんこの容器も可愛いし
あんこたっぷりのトーストも美味しそうですね😋


イシガミ
2025/03/15 17:54

ありがとうございます。
何度歩いても新鮮ですし、焦点を絞ると梅の花はこんなにもきれいだったんですね。
トーストは、小鉢のかわいさを引き算したとしても、やっぱりあんこが勝ちました。