イシガミ
2024/06/25 20:16
最後のケーキ
春のケーキは、最後にもう一度カフェモカを選びました。
おいしかったです。普通、いちごのショートケーキは五層であるのに対して、モカフィーユの名に恥じない七層の口溶けが、複雑さと調和を、同時に、おいしく。
ところで、コーヒーの銘柄でモカというのがあることは、知っているひともいると思います。しかしカフェモカといった場合は、一般に、エスプレッソをベースとするイタリアのカフェ文化で、蒸気できめ細かく泡立てたミルクとチョコレートシロップを加えたコーヒーを指すことは、もしかしたら、これもよく知っているひとはいるかもしれません。
その知識と経験から、自分は、コメダ公式サイトで最初このケーキを見たとき、ミルフィーユにかけた何重もの層よりもまずチョコ味を思い浮かべました。ところが、桜の咲くころとこの初夏と、二度食べて、不思議と、チョコレートの印象はそれほど残りませんでした。
それよりも、いまも口の中に残っているようなのは、たとえば子どもに毎日飲ませたいミロや、麦チョコやチョコ味のコーンフレークや、あるいはチョコワにミルクを注いだときのあの色をした、クリームのおいしさです。
目に映る面積でいえば、それはおそらくあまり目立たない——表面の艶やかな層とともに——薄い層です。米粉しふぉんを思い出しても、あちらでは曲面にクリームが厚く塗られていたのとは対照的に、こちらにはそれがありません(よく観察すると、むしろクリームの上からコーティングされています)。
それなのに、主役といって差し支えないほどクリームのおいしさ感じさせるのは何なのか……その答えは棚上げにして、いまは来たるべき夏のケーキのことを考えよう——そう思わせるに足るほど、大満足の食べ納めでした。
やっぱり、コメダのケーキがいちばんです。
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