初夏の思い出
その珈琲店は、関東1号店だとコメダ公式サイトで読みました。
そのこと自体、大いに記念すべきことだと思いますが、また別の面からもそのお店のことは気になっていました。というのは、日ごろ気にかけている部員さんも多いであろう「KOMEDA COMES TRUE. with YOU」のページで見た、「てらこやコメダ」の実践に深く共感したからです。
日の出ごろ、東名江田で高速バスを降りて、かつて宿場としてにぎわった荏田の街を歩いていきました。





はじめての土地で、何しろコメダが頼りでした。
列に並んで待っているあいだ、外装の木に年月を感じました。かたわらの花壇がきれいでした。春の連休中のことで、三世代で来たファミリーの楽しそうな声が聞けて幸いでした。
開店と同時に、マイ店舗とまったく同じように、扉の外でスタッフさんが明るい笑顔と朗らかな挨拶で迎えてくださいました。小さな子どもから大学生まで、地域の前途あるひとたちの大切な居場所なのがうなずけました。
そこからはもう、いつものコメダでした。
モバイルオーダーのパウチを、はじめてこの目で見ました。

デフォルメされたメニューの数々に、愛らしいフォントがなごみました。見落とせなかったのは、コメダにとって、コーヒーシェークがどれだけ大切なのかが過たず表現されていたことです。
食べるものは、名古屋を発つまでは、ここぞというときのカツパンを考えてはいました。しかしさすがに、夜行バスの疲れが待ったをかけました。
それよりも、干からびた身体が本当に欲していたのは、新鮮な野菜です。

おいしかったです。とくにポテトサラダがうれしかったです。食後は、ポーチから手早く常備薬を取り出せました。はじめてのお出かけがずいぶん遠くになったものですが、連れてきてよかったです。
気がつくと、空が晴れていました。スタッフさんに道を尋ね、快く教えてもらえたら、目的地までの中継地点、あざみ野駅のほうへ歩き出しました。





橋から駅を見た風景が、故郷の日進でよく見た米野木駅に重なりました。古墳しかり、長い時間を貫いてみれば、人間が生きていくための営みは、土地は変わってもそう違わないのかもしれません。
三ツ沢上町で降りて、まだたっぷり時間があったので、駅構内の案内図を見て立ち寄れそうな場所を探しました。
稲葉浩志の母校も気になりましたが、選んだのは、一見して重要な場所だとわかった、すぐ近くの寺です。






森へ入ると、いつも身体が安らぎます。しばらく佇み、往時のひとの心を思ったら、呼吸の命じるのに合わせて、境内をあとにしました。
目指す球技場は、同じ丘陵の反対側です。道案内の看板に従い、首都高の眺めを楽しみながら、もう一度アスファルトを元気に歩いていきました。



カツは、ここで入場前に食べました。
最後にコメダのおやつを食べるのだからと、この際こだわりませんでしたが、もしかしたら、同じ食事のなかでおにぎりとパンを両方食べてはばからないのは名古屋の人間が特殊なのかもしれません。わからないですが、おかげ庵でコーヒーとおにぎりのモーニングが選べるのに照らして、大目に見てもらえたらと思います。
試合は、全力で応援して勝ち点3の喜びを分かち合いました。スタジアム内売店で買えたフランクフルトが助かりました。
それだけではありません。キックオフ前には、子どもの日にあわせた企画で、スタジアムDJを任されたハマっ子のとびきり元気な声を聞くことができました。またタイムアップ後は、ニッパツ横浜FCシーガルズのサポーターと一緒になって、三ツ沢クリーンプロジェクト(ごみ拾い)に参加することができました。
その勇気が出たのは、まったく、入場直後に横浜のひとが「名古屋のみなさん、一緒に試合を盛り上げていきましょう」とマイクを通して呼びかけてくれたおかげです。記念品のうちわとあわせて、人生でそう何度もない関東でいい思い出ができました。
あとは、時間が迫っていたためショートカットで三ツ沢公園を抜けて、もときた路線であざみ野駅へ戻りました。ガーデンズのおかげ庵が気になりつつ、それはまた今度来たときの楽しみにして、帰りの東名江田バスストップまで、先を急ぎました。



ふとバスがやって来るほうを見ると、初夏らしい雲がきれいでした。それから、静岡のほうへ向かう子どもを全員で見送りにきた様子の、どこかの家族のあたたかさが、たまたま隣り合ったこの胸に染みました。
最初の休憩所で、日没後の薄明のなかに、富士山が見えました。大方をまだ白雪が覆っていました。今年の名城大学女子駅伝部を思い(先日、あのシロノワール大好き白野さんによる秘話が「KOMEDA COMES TRUE. with YOU」で公開されていましたね)、わずかな時間で目に焼きつけたら、乗り遅れて迷惑をかけることのないよう、目の前のバスへ急ぎました。
