ケーキかシロノワール
この前いつものコメダへケーキを食べに行ったら売り切れでした。その受け応えの流れでシロノワールを注文したところ、比べようもなく満たされました。
ちょこんとかわいいし、メープルは甘いしで、やっぱり好きです。
最近、ミニシロノワールの食べ方が変わりました。前よりも口を大きく開けられるようになったからだと思います。
詳しくいうと、前までは1/4ピースごとにフォークを刺し、ソフトクリームを適量乗せて、先端(本来は中心)、一方の端、もう一方の端、最後にひと口サイズになった残りを食べるというパターンだったのですが、いまは各ピースごとにまず上下に分けています。そうしてあらわれた明るい面に、ソフトクリームを、だいたい前半は塗って、後半は染み込ませて、そのそれぞれをひと口で食べるようになったのです(1/4の上側、下側、次の1/4の上側、下側……と、全体で8回咀嚼するということです)。
補足すると、上下に分けるのは、口に入れたときに幅広でも困らない薄さにするのと、明るくきれいな色をしていてなおかつソフトクリームをよく吸うやわらかな面を露出させるのと、二つの意図があります。そのときは、右手のフォークで側面のグラデーションの真ん中あたりを軽く押さえて、そこから、左手のスプーンで上側に開きます。
もしかしたら、フォークを左手に持ってそのまま食べるほうが、空いたほうの右手でカップを持ってくる動作がスマートなのかもしれません。しかし、ソフトクリームを掬うのが左手のほうがやりやすいのと(たぶん、スパゲッティに決まってスプーンがついてくる時代に育ったからだと思います)、ケーキのときもそうですが、甘いものとコーヒーは同じくらい価値があるだけにそれらを天秤にかけるような所作はしたくないことから、たとえ二度手間のようでも、どちらも右手で口へ運ぶのが自分には合っています。
もちろん、どういう食べ方が正解(そういうものがあるとして)なのかはひとそれぞれでしょう。どちらにしても、そのシロノワールやケーキが大切であればあるだけ、食べ方もまったくの無考えというわけにはいかないと、自分は、そんな気がします。
翌週、今度はケーキがまだありました。目当てのマスカットがないなかから、レモンを選びました。
テーブルに置かれるかどうかの瞬間、その真っ白な美しさに目を奪われました。夏らしい黄色がいっそう白く見せます。厚いフィムルの手強さも、その魅力の前では何でもありませんでした。
さりとてあわてず、いつものようにまずコーヒーをいい塩梅にしました。いよいよ食べるとひんやり爽やか、レモンの酸味とチーズの酸味がいっぱいに広がりました。コーヒーを口に含むと今度はスポンジのふわふわが主張し、やがてすべての冷たかったものがあたたかに溶け合っていく、長い幸せな時間が訪れました。何度食べても、チーズらしい形がまずしっかりと感じられるのも愉快でした。
じつは、家を出たときはマスカットがないのならミニシロにするつもりでいました。それが、スタッフさんの親切な説明を受け入れて、知らなかったおいしさに出会えて本当によかったです。
今度は、オレンジを外すまいと思います。