さんかく屋根の下

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手から、手へ。〜コメダの器の故郷、佐賀県・有田を訪ねて〜【復刻記事】

コメダのコーヒーカップ& ソーサーは有田焼。創業者の強いこだわりを有田の職人たちが形にし、かれこれ四半世紀が経とうとしている。コメダの器をつくりあげる現場は、驚くほど〝手作業〟の連続。大量生産可能な工業製品と違い、それぞれの工程のプロフェッショナルがバトンを繋げるように作っている。今、飲んでいるコーヒーが、もっと美味しく、特別に感じる。そんな物語をお届けしたい。


コメダと有田焼の出会いは約四半世紀前に遡る。コメダ創業者・加藤太郎氏は コーヒーカップの取っ手が外れる可能性のある構造を懸念していた。自分が思い描くコーヒーカップを1から作るために、コメダでオーナーを務めていたある女性に相談を持ちかけた。その女性が「私の弟が力になってくれるかも」と加藤氏に紹介したのが、現・東洋セラミックス会長の久野悟さんだった。


当時、お店で使っていたコーヒーカップは「ローラー成型」の製法のもので、量産できる代わりに、取っ手を後づけするのが難点だった。久野さんは取っ手の強度が格段に上がるが、手作業が多い「一体成型」を提案した。強度だけではなく、形、飲み口の厚さ、 質の高さを証明する白さなど、加藤氏のこだわりはとにかく強かったという。試行錯誤の末、人間の手だからこそ作ることができる温かみあるコメダのコーヒー カップが誕生したのだった。
 

白さを見れば有田焼の質がわかると職 人たちは言う。

特上の土と丁寧な手作業 によって、コメダのコーヒーカップは真っ白に仕上がる。 生地屋さんから運ばれてきた器たちは900度以上の熱で素焼きされたのち、白い釉薬をくぐり抜ける。一定のリズムですっと浸して、すっとあげる。釉薬は表面の光沢を生みだすと共に、液体が染みこむのを防ぐ役割もある。釉薬をくぐればいよいよ本焼成へと進む。

コメダのコーヒーカップは焼成の〝後〟に「コメダおじさん」の絵付けを行う。 一方ソーサーは焼成の〝前〟に「コメダおじさん」の絵付けを行う。コーヒーカッ プはあの独特のデコボコ質感を出すためにオーバーグレーズを。日々、カップとこすれあうソーサーは、ロゴが傷みにくいようにアンダーグレーズを採用した。これも加藤氏のこだわりの一つだったという。

1300度の熱で約17時間じっくり焼きしめる。大きな窯の扉を開けると、見慣れた艶やかなコーヒーカップたち が現れた。作業はいよいよ最終段階へ と進む。

焼成を終えたコーヒーカップに、「コメダおじさん」ロゴを転写する。ロゴシートを所定の位置に置き、ゴシゴシと擦りつける。

カップ表面の独特の手触りはこうして生まれる。転写時についた黄色い跡は、3度目の焼成であとかたもなく消える。その焼成が終われば、ついに完成。

高台研磨などを含む4回にわたる検品を 通ったものだけが、お客様の元に届く。 大量生産が可能な工業製品は、常に一定の品質で同じものを作ることができる。一方、コメダの有田焼は驚くほど人間の手を介し、大量生産もできず、一つひとつが手仕事ゆえに微細な違いを生む。私たちはその違いこそが、温かみと愛おしさを生み出しているのだと信じている。全国にあるコメダ珈琲店の器を、今日も職人たちが心を込めて作ってくれている。

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こちらは復刻記事として、リニューアル前のさんかく屋根の下で公開されていた、過去の記事を紹介しております。


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2件の返信 (新着順)
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あるふ
2022/09/05 22:35

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しろちゃ
2022/09/05 10:12


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川原林敬啓