朝から働く工事の方々を臨む

ここは、このバス停で4つある乗り場のうち、8時台に都心寄りの方角へ向かう一本をのぞいて、地域巡回バス専用になっている。そのバスも都心のターミナル駅に停まらないことはない。ただそれだけでなく、公私を問わず、地域内の重要なスポットをほぼ網羅しているのが助かる。

ここがいわゆる田舎だと、ひとがそう呼ぶのかはわからない。どちらにしても、その路線は1時間に1本の間隔で動いている。部屋を出る前に時刻をきちんと調べずに、いざ停留所へ着いて、雨降りだし、次のバスが来るまでまだ少し時間があるから近くでひと休みしていこう……そういう余裕を一人ひとりがもう少し持って生きていくために、コメダが一役買っているといいなと思う。

巷でいま話題の（？）ナウシカではないけれども、幼いころから自分は、人間相手よりも動物のほうが心安かった。飼育係でウサギたちにキャベツをカットしてあげるのが楽しかったし、ニワトリの卵もたくさんもらった。持ち帰る決まりだったウサギの赤ちゃんは、すべて死なせてしまったけれど、母が、不器用な自分とかわるがわるに、何度そうなってしまっても毎回、夜遅くまで温めたミルクを少しずつその子たちに飲ませてあげていたあの居間での時間は忘れられない。

犬や猫に相手をしてもらおうと思ったら、まずはしゃがんで目線を合わせることがはじまりになる。初対面で立っているこちらの足もとへ近寄ってくる部類は、たいてい離れていくのも早い。飼い犬が昼寝をしていたら、呼びつけるのではなく、こちらも近くに行って寝そべってあげる。愛犬とはずっとそうやって親しくしてきた。

では人間同士はどうなのだろう？　背丈の微妙な差や、おたがいが立っているのか座っているのか、そしてうつむいているのか正面を向くのか、それとも横顔を見せるかたちになるのか……そういうことも、いまさらのようにこの場所で考えさせられている。

相手の立場に立って考えるだけでなく、実際にそのようにして自分自身が動くこと。そのなかに、苦労もあれば喜びもあるのは救いだと思う。ときには立場を踏み越えるなといわれそうなことも求められ、勇気や良識が問われることになる。それで疲れて、別れるときに笑えなくなってしまったら、コメダでひと休みしていこう。