コメへの志向
秋めいて、バナナオーレが飲みたくなりました。
やはり白くてすぐには見つけられないのですが、とろあまホイップが唇につくのにひるまず、何度か挑みました。すると、カップを傾けるちょうどいい角度をつかんだところで、ゆるくももったりとしてもいない、ましてや甘すぎないバナナキリッドが少しずつ、舌の上へ流れてきました。
ああ、これが東京ばな奈なんだなと、はじめてのようにやさしい気持ちになれました(コーヒーは、スイートポテトのときと違って、自分はほとんど感じられませんでした)。
そこからは、好きなタイミングとペースでキャラメルホイップをすくったり、好みの加減になるまでかき混ぜたりしながら、読みものをしてゆっくりと過ごしました。
読んだのは、昼間行ってきたあいち朝日遺跡ミュージアム(愛知県清須市)の企画展「弥生時代の食事情」のパンフレットです。
その高度な研究をここに尽くすことはとてもできないですが、印象に残ったのは、縄文時代晩期から弥生時代前期にかけてイネだけでなくアワ、キビなどが伝わったなかで、とくに朝日遺跡で暮らしていたひとたちにはイネへの強い志向性が見られるということ、また、当時のコメは、たとえば現代のつや姫に代表される品種とは違い、もっとパサパサとした粘り気の弱いものだったと推定されるということです。
もちろん、基本展示(常設展)も圧巻でした。土器に限っても、朝日遺跡のものは特徴的で見応えがあります。
それだけではありません。この日はたまたま、小さな弟ができたばかりの女の子と一緒になりました。その子が、お母さんとおばあちゃん、それに親切なミュージアムスタッフさんやほかの来館者に見守られ、展示室を出たあとも考古ラボ、さらには屋外に広がる弥生時代の遺構までうきうきと楽しんでいったのは、この遺跡博物館がどれだけ深く地域のひとたちに愛されているかを、一人の無知な大人にもよく教えてくれました。
その意味を、日が暮れて静かなコメダで考えた一日でした。