雪夜の晩ごはん
ある晩、帰り道で雪が降り出し、どうしても揚げものが欲しくなりました。
コメダがあるのを知っていました。にぎやかなひとの流れにも期待し、そこだけ寄り道していくことにしました。



グッズの話で盛り上がったら、できあがりとテイクアウトの用意を席で待ちました。
見上げると、ポスターが受験生向けのものに変わっていました。ここぞというとき、お父さんお母さんが好みを間違えず買ってきてくれたら、中高生はさぞ力がつくに違いありません。それとも、千円もしないことだし、自分の小遣いで好きなのを買って、もっと力を発揮する部類もいるでしょうか。
耳を澄ますと、ぱちぱちと衣が揚がる小気味好い音が聞こえてきました。母のいる台所によく耳を傾けた、生家にいたころのようにあたたかな心地がしました。
やがて順番を呼ばれ、お礼を言い合い、両手で受け取りました。出口で左手へ大事に持ち替え、まだ雪のちらつく夜道を、気をつけて急ぎ足で帰りました。
家へ着いたら、荷物の整理もそこそこにコーヒーをあたためました。食器を出したら、すぐに食べました。

きれいで、おいしかったです。
揚げたてのサクサクで、ホクホクのシャキシャキでうれしくなりました。そのあたたかさはまるで、ついさっきまでの続きのなかにいるようでした。硬めのチーズと冷ためのタルタルが、いい味を出していました。コメドムを間近に控え、これで後顧の憂いはなくなりました。
ささやかなデザートには、はじめて選ぶ、少し贅沢なケーキを買ってきました。

包装を開けた瞬間、バターのいい匂いがしました。
気持ち硬めの表面はキャラメルのようにしっかり甘く、ナッツの風味がしました。明るい内側は、たまごとバターのふんわりやさしい甘みが広がり、シェ・シバタらしく、フォークで切ったときひとかけらもそぼろが出ないほど、完璧な配合と焼き加減でした。
お腹いっぱい食べたあとだけ、小さなケーキが、限りなく満たされました。