さんかく屋根の下

コメ友の部屋

2023/12/22 09:45

おはようございます。今日は冬至ですね~
そんなわけで、そんなお話をつくってみました😊
よろしければどうぞご覧くださいm(__)m

もう少ししたら、我がコメバイトへGOします!
頑張ります!!(^^)/



*******

ワタシの名前はコメダおじさん。
誰がつけたか、いつの頃からかそう呼ばれている。
地味な名前だけど、自分では気に入っているから、まあいいだろう。
最近、店の窓から差す太陽の力がすっかり弱まり、ティータイムにはすでに夕方の気配が漂っている。

この時期は暖かい飲物を注文されるお客様が多く、ワタシのカップが大活躍である。

さて、今日のお客様はどんな人だろう…

***

「いらっしゃいませー!」
2人の男女が店に入ってきた。ひとりは妙齢の女性、もう一人は白髪交じりの男性。すぐに親子だと分かったのは、顔がそっくりだから。
「席をご案内しまーす」スタッフに誘導された2名掛けの席に、いそいそと座る2人。
ワタシのイラストが入ったグラスとおしぼりが置かれる。
「ご注文がお決まりになりましたがボタンでおしらせください」
スタッフは一礼して去っていった。

「うわー、あったかい!」「熱いくらいだねぇ」
おしぼりを手にとって2人は微笑み合う。メニュー表を手に取り「で、おとーさん、どれにするの」
「うん…?どれがいいかなぁ」
「ホットにする?」「そうだなあ」
「私は…コーンスープにしようかな」
娘さんがボタンを押して、スタッフが来るのを待つ。
「お待たせしました。ご注文おうかがいします」
娘さんはテキパキと注文し、御父君はそれをじっと聞いている。
「コメダブレンドにはミルクをお付けしますか?」と聞かれた御父君は「あ、はい。よろしく」
「少々お待ちくださいませ」
ニッコリ笑顔を向けたスタッフが席を離れると、娘さんが大きな伸びをして「ふぁーーーー!」と一声。

「なんだぁ孝子、お疲れかい?」「まぁね…最近バタバタしてたから」
それから、孝子さんという名前の娘さんは自分の仕事の話を始めた。どうやら建設会社の事務員をしているようで、年末で色々と忙しいらしい。それをふんふんと聞く御父君。
間もなくワタシのイラスト白カップに注がれたコメダブレンドと、ミルクカップに注がれたコーンスープが運ばれてきた。
もちろん、コメダ自慢の豆菓子もだ。

「わぁー美味しそう!」

ティースプーンで少しかき混ぜた後、ふーふーと軽く息を吹きかけ、こくんと口に含んだ孝子さんは「んー!美味しい!!こんな寒い日にはピッタリ」とニッコリ。それを見つめる御父君も嬉しそうに、ミニピッチャーに入ったミルクをコメダブレンドに注いだ。

実はミニピッチャーの裏側にもワタシが潜んでいるのだが、気づいていないだろう。ふふ。

「それで、お母さんはどう?」ここからが本題というように、孝子さんは姿勢を正した。「見た感じは、まあ、元気そうだけど」

「うん、そうだな…リハビリ頑張ってるよ」
どうやら御母君は、リハビリが必要な状態のようだ。
「あれからもう3年だもんね…最初に電話で聞いたときは心臓が止まるかと思っちゃった」
「そうだな、父さんもビックリしたよ」
「あんな元気でピンピンしてたのに…今じゃ一人で歩けないんだもの…人間、何が起こるかわからないよね…」
「ああ…」
御父君は、それほど饒舌ではないようで、普段から孝子さんが話をリードしている雰囲気だ。
「なかなか帰れなくてごめんね。まさかお母さんが倒れるだなんて思ってなかったし…心配なんだけど…」
「いや、お父さんがまだ元気だから大丈夫だよ。孝子は自分のこと頑張れよ」
「うん…」

豆菓子の袋をピッと開けて、豆皿にコロコロんと転がす。ポリポリとかじりながら、スープをすすった孝子さん。

「私、考えたんだけど、やっぱりこっちに帰ってこようか」
「何言ってんだ。仕事があるだろう」
「まぁね…でも、私一人で身軽だし、転職するなら今しかないと思うし。私ももう30半ばだからさ。ほら、年取ったらますます転職も難しいでしょ」

「…」

孝子さん、御母君のことが心配なのであろう。その真剣な表情が物語っている。
「ありがとな、孝子。そう言ってくれるだけでも父さんは嬉しい。まあ大丈夫だ。お前は自分のことを考えなさい」
御父君は穏やかに、しかしきっぱりと言った。孝子さんの真の幸せを見通すかすように。
「ま、母さんがどうしようもなくワガママになったら、そのときはお前に助けを借りるかもしれんけどな」
いたずらっぽく笑う御父君に、孝子さんもそれ以上突っ込むことなく「今でも十分ワガママでしょーよ」と苦笑いしながらコーンスープを飲み干した。「あー美味しかった!身体があったまったわ~」

「さ、そろそろ母さんのリハビリが終わる時間だ。行こう」

御父君のカップも空になっていた。

「帰りに柚買っていこうよ、今日は冬至だから柚風呂にしよ」
「そうだな、母さんも喜ぶな」
「そうそう。ああいう行事ごと、昔から好きだったから」
帰り支度を整えて、2人は席を立った。

レジのランプにもワタシはぶら下がっている。

「おとーさん、ここは私が払うよ」
「いいや、ここは父さんが払うから」

会計はペイペイ、最近はほんとにバーコード決済が多くなったものだなあ。

孝子さんが「ご馳走様」と御父君の背中に呼びかけるのと同時に「ペイペイ!」と機械音が鳴った。
「便利になったものだよな」と感心する御父君。ワタシも同感だ。

扉を開けた途端「うわ~寒い!早く車に乗ろう、おとーさん!」という孝子さんの声が聞こえてきた。

早くお母さんのもとへと行っておあげなさい。そして柚風呂におつかりなさい。

そうだ。そして今日はスープの日。
孝子さんは、その由来の通り、ふーふーしていたな。



今日は何人の人がスープを飲んだのだろう。

そして何人がふーふーしただろう。

気になるところだ。

3件のコメント (新着順)

emikkoさん、こんにちは☀️
コメダおじさんの話を読んで、幸せな気分になりました😃
日常の何気ない会話が愛おしくなりました😄
亡き父とこんな会話してたかなと思いました☺️
また、お話読ませて頂けたらと思いました😌
今度、ミニピクチャーの裏側、コメダおじさん確認してみますね😉


emikko
2023/12/23 16:32

アップルマンゴーさん
ありがとうございます😊
お父様、天国にいらっしゃるのですね。
きっとアップルマンゴーさんのこと、ずっと見守っていらっしゃることでしょう。

ミニピッチャー、是非チェックしてみてくださいね。

はい、コメダブレンドを注文した時に必ずチェックしますね😊

コーン
2023/12/22 15:29

こんにちは!
スープの日のほっこりしたお話😊ありがとうございます♪


emikko
2023/12/23 16:28

コーンさん
ありがとうございます😊
調子に乗ってまたまたお話を載せちゃいました☆
コーンなスープ、コーンさんにさらに親近感です☆★(なんのこっちゃですね)

ゆき©
2023/12/22 14:11

eomikkoさん🍀こんにちは😊
コメダおじさんが主人公かなと思いながら、お話を楽しく拝読させていただきました😌
22日は〜と教えてくださったコメ友がいらっしゃいました🙆締めくくりがスープの日だとは😍
父子の会計前の会話、昨日の私と父のようでした😁私のコメカで済ませましたけれど(笑)
emikkoさん、素敵なお話ありがとうございます(*´∀`)お仕事、無理されない程度で頑張ってくださいね🙋🌱
ミルクピッチャーの裏側、見たことがありませんでした😅今度コメダおじさんに会いたいと思います😂


emikko
2023/12/23 16:25

ゆきさん
ありがとうございます。
バイト先にも仲良し父娘さんがご来店されるときがあります。ほっこりしますよ~😊
ミルクピッチャ―の裏側、是非チェックしてみてください😉