殿様焼き
カスタードの大判焼きを食べて、また一歩大人になったと思います。今度は、北海道産大手亡豆(インゲンマメ)を贅沢に使用した、白あん一つに絞りました。
さすがに寒くて、食べるのは屋内のアズひろばにしました。

チョコとカスタードの対と同じように、焼印で小倉あんと取り違えることのない丁寧な仕事が痛み入ります。
白あんは、スーパーに並んでいる高級あんパンのなかから年に一度選ぶか程度ですが(多いのは圧倒的に栗入りあんのほうです)、同じく北海道産の小豆を使用した小倉あんよりも、植物の感じが強くします。ほくほくのじゃがいもに似ているでしょうか。粒度が粗いというか、シロップやキャラメルになるとわかりやすい砂糖の粘度を欠く感じかもしれません。かといって、十分に甘いです。それも、時間をかけて味わうほどじんわりくる甘さでした。
どういうわけか、家で用意してきた熱々のコーヒーと食べているうちに、自分は、自分がまるでトノサマバッタになったような感覚がしました。その心象風景が、故郷の田畑の畦道に立っていた少年の日と重なりました。

満ち足りて、帰りのバス停まで、急ぐなら新家二丁目を選ぶところですが、休日なのと動いて身体をあたためたいのとで、のんびり歩くことにしました。
中川区の誇るきしめんの老舗、吉田麺業を通過し、最初に目に入ってくる眺めは高速道路の高架です。名古屋から見て、あの道が遠く近畿地方へつながっていくのを思うと胸が刺激されます。よく岩塚で見上げている、ラブリッジ名古屋のプレミアムパートナーである、青空に目立つ愛知ダイハツの看板も、気持ちをあたためてくれました。
旧街道を渡り、名古屋西インターのバス停を見送り脇道へ逸れ、往時の面影濃い街並みを縫って、寺を訪ねました。旧千音寺村の地名の由来となったいわれる史跡です。

見上げる屋根の反りが震えを正し、樹齢百何年かというイブキが、心根を真っ直ぐにしてくれました。そのまま千音寺のバス停へ出て、やがて来た便で帰りました。